緑内障

自覚症状がないのが緑内障の怖いところ。緑内障は、視野が狭くなり、最悪の場合失明することもあるため、早期に治療する必要があります。緑内障のチェック方法についてもご確認ください。


原因

私たちの眼の中には血液に代わり栄養分を運ぶ「房水」という液体が絶えず循環しており、この房水の圧力(※眼圧)により眼の形状は保たれています。
緑内障とは、この房水のバランスが崩れるなど、何かしらの原因で眼圧が上昇することにより、視神経が圧迫され視野が狭くなったり欠けたりする病気です。


※眼球に一定のハリを与えて形を保つ圧力のことを眼圧といいます。
仮に、私達の眼球が空気の抜けたボールのようにふにゃふにゃしていたら、身体を動かすたびに形がゆがんで網膜にきちんと像を結ぶことはできないでしょう。私たちがきちんとものを見るためには、眼球に一定の張りを与えて形を保つ必要があるのです。
ボールの硬さを調節するのは空気ですが、眼球の場合、房水(ぼうすい)という水分がこの役割を担っています。

症状

・初期段階では自覚症状がないため注意が必要


適切な治療をせずに放置しておくと失明してしまうおそれもある病気ですが、初期段階では自覚症状がないため、発見が遅れてしまうこともあります。眼圧が正常値を示していても緑内障を患う場合もあるので、日頃からの注意が大切です。

チェック方法



 アムスラーチャート法


片目ずつ中央の白い点を見つめます。
上記のように見えたら視野や視力に異常がある可能性がありますので、早めに眼科医へ相談しましょう。
この検査法は、「加齢性黄班変性」という病気の早期発見にも使えます。


治療

【薬物】

まずは点眼薬で眼圧の様子を見ていきますが、なかなか下降しない場合は2種、3種と薬を併用することもあります。また、状況により内服液を服用していただきます。


【レーザー】

薬物治療で十分な効果が得られなかった場合や急性緑内障の場合はレーザー治療を行います。現在のところ、虹彩に穴を開けて房水の流れを変える方法と、線維柱帯に照射することで房水の流出を促す方法が主流です。


【手術】
薬物療法やレーザー治療で回復の兆しが見られなかった場合は手術が必要です。主に、房水の流れを妨げている部分を切開する、あるいは房水が眼外に染み出すよう細工を施すといった手法が取られています。

Q&A

最近よくテレビや新聞で緑内障が怖い病気だということを目にしますが、本当ですか?


はい、そのとおりです。まず怖いのが、その有病率の高さです。40歳以上の日本人の100人に4人は緑内障だといわれています。自覚症状が出にくく、一般的な視力検査や眼圧検査でも発見されにくいため、気がついたときには視神経が損傷されてしまっていることが多いのです。視神経が損傷すると視野が失われます。そして一回失われた視野は現在の医学では回復させることができないのです。


緑内障ってどんな病気ですか?


緑内障は、視神経と眼底をつなぐ視神経乳頭部(視神経が脳から目の中に出てくる出口)に障害が起こり、視野が欠けていく病気です。
以前は眼球内部の圧力(眼圧)が上昇し、視神経が圧迫されて障害が起こると考えられていました。しかし、最近の研究や疫学調査で、眼圧は正常なのにもかかわらず、同じように視神経の障害が起こる人も少なくないことがわかってきています。これにより、緑内障の定義が変わってきました。


どんな治療をするのですか?


まず、眼圧が高い緑内障の人には、眼圧を下げる作用のある点眼液を点眼します。これで多くの方は眼圧のコントロールができるようになりますが、その後の経過を見て、改善しないようなら手術をすることもあります。
眼圧が正常な方の緑内障でも、眼圧が下がるように点眼薬を使用。さらに眼内の循環がよくなるように、循環を改善させる飲み薬を飲むこともあります。このタイプも視野が悪くなるようでしたら手術が必要です。


いつまで点眼しなくてはならないのですか?


緑内障は高血圧や糖尿病と同じ、生活習慣病です。生きているうちはずっと眼圧のコントロールが必要なので、点眼もずっと行う必要があります。
緑内障は経過の長い病気です。眼科とうまく付き合いましょう。